塩田武士著『存在のすべてを』紹介記事
30年の時を経て、再び動き出す真実の糸
平成3年に起きた未曾有の誘拐事件。その事件を担当した新聞記者、門田は、旧友である刑事の死をきっかけに、事件の真相を追うことを決意します。
時の流れに翻弄され、忘れ去られかけていた事件。
しかし、門田の執念深い取材によって、事件は新たな局面を迎えます。
そこには、一人の写実画家が深く関わっており、事件の真相は、想像をはるかに超える、衝撃的なものでした。
虚実が入り混じる、ミステリーな物語
本作は、社会派ミステリーでありながら、同時に人間の心の奥底をえぐるような深いドラマでもあります。
- 真実を求める記者と、現実を描く画家:
真実を追究する記者の目を通して、事件の全貌が徐々に明らかになっていきます。
一方、現実をありのままに描き出す画家の存在は、事件に新たな謎を投げかけます。 - 30年の時を超えた人間のドラマ:
事件に巻き込まれた人々のその後の人生が、丁寧に描かれています。
時間の経過とともに変化していく人間の感情や、心の傷跡が、読者の心に深く突き刺さります。 - 「実」を見つめる、著者渾身の作品:
塩田武士氏のこれまでの作品で培われた、社会に対する鋭い視点と、登場人物たちの心の機微を繊細に描く描写力が、本作でも遺憾なく発揮されています。
心を揺さぶるラスト:読後、あなたの心に残る深い余韻
事件の真相に迫るにつれて、登場人物たちの心の奥底が徐々に明らかになっていく。
予測不能な展開に翻弄されながらも、読者は主人公たちと共に、真実を求めて進んでいく。
そして、最後に待ち受けているのは、あなたの心を深く揺さぶる、衝撃的な結末。
読後、この物語が描いた人間の業や愛について、きっと深く考えさせられるだろう。
まとめ
『存在のすべてを』は、単なるミステリー小説にとどまらず、読者に深く考えさせられる作品です。
30年の時を超えて、再び動き出す真実の糸。その先に待ち受けているものとは?
ぜひ、あなた自身の目で確かめてみてください。
[本の詳細]
- 著者: 塩田武士
- 出版社: 朝日新聞出版
- 発売日: 2023年9月7日